2013年2月3日日曜日

Rawの事、現像の事

 大体の事は「トリミングの話」やら「HDRの話」やらで語っているのだけれど、ぶっちゃけ、ソフトを使うかどうか、どういう指針で写真を撮るのか、と言った問題は、それぞれの好きにすればいい話だ。
 ただ、無意味なことにお金と労力を掛けるのは見ていて(ry

 分かりやすい例えをするなら、健康のため、健康のためと、添加物や化学調味料を避けて生活している人が、マイナスイオンだの、水素水だの、酵素だのと言った、出鱈目を信じてしまう事に近い。
 カメラメーカーもああいう商売に近い所があって、(実質)違いのないところに違いがあるような文句を並べてオマンマを喰っている(部分もある)。
 そう言う出鱈目は、カメラにせよ健康食品にせよ、合理的な説明をしたところで、信者には聞き入れて貰えないし、当然、私もそうした努力で消耗するのは本望ではない。
 健康を害しようが、財布がすっからかんになろうが、当人が幸せなら、勝手にすればよい。

 けれど、その境界に立つ人には、公平な情報を与えるべきだろう。
 と、言う事で、Rawの話である。


 先に言う。Rawで撮ったところで、写真が綺麗になる訳ではない。
 実際、Rawで撮っておきながら、非常に意味のないことをしている人がいる。残念なことだ。高い現像ソフトを買って、そんな使い方をしているとは……

 僕は、先に述べた「トリミングの話」やら「HDRの話」で現像やレタッチを肯定している。否、推奨に近い立場にいる。
 これは、それが勉強になるし、遊びとしてなかなか優秀であるからだ。
 一枚の写真をこねくり回せば、撮って出しでは分かりにくい光の加減の理解に繋がる。
 もっと数字をいじってやれば、思いがけない雰囲気の写真に作り替えることも出来る。
 だから、撮った写真の後処理をお勧めしている。

 現像ソフトは、実はフリーソフトで幾つも公開されていたりする。
 ビューワーに、オマケ程度に付いているのもあれば、そこそこ使えるものまである。
 タダで遊べるなら、試しに数個試してみても悪くないだろう。


 それで、話を少し戻して、「非常に無意味な使い方」なんだが、一言で言うと、碌すっぽいじりもせずにバッチ処理をやる人だ。
 バッチ処理とは、複数のファイルを連続して現像する処理の事で、単に機械的に処理しているだけである。
 それは、要は、カメラがカメラ内部で、生データをJpegに変換しているのと殆ど変わりはない。
 現像ソフトによって、風合いが変わるのは認めるが、それは自分の力でチューニングしてやれば済む事である。そして、そう言うチューニングを各々の写真の中で、自分好みのように作り上げると言う作業が必要ないなら、現像ソフトなんて使わなくたっていいのだ。
 実際に、そう言う作業が煩雑だと思う人や、いい意味で写真いじりを卒業した人は、むしろ、現像ソフトなんて使う意味はない。
 手間が掛かった分、写真は良い出来になると言ったりなどしないが、しかし、逆に手間を掛けるつもりがないのなら、普通にJpegの撮って出しにすればよいのではないか?

 確かに、バッチ処理はしばしば行う。それは、例えばHDR用の写真の為に、色温度などを固定する場合や、比較写真の為に同じ設定をコピーした場合に限る。
 また、マシンパワーが足りない場合、一つ一つチューニングした後に、現像だけバッチ処理して、その間にメシでも喰っておこうとか、そう言う使い方も便利だろう。

 所詮は道具の話だ。色合いや解像度が良くても、構図がアホなら、アホな写真に違いない。撮っているものが凡庸なら、余程のことでもなければ、凡庸な写真になる。
 どんな高性能な機材やソフトを使おうと同じだ。何故なら、それさえ使えば誰だって同じ結果になるのだから。
 オンリーワンと言う言葉は大嫌いだ。その言葉は、概ね「人と違うアイテムを消費しよう」と言う商業主義に染まりきった言葉だからだ。

 成金が嫌いだという話でも、(俺のより)安いカメラを買え言う(逆)拝金主義ではない。
 機械任せでは精神が宿らないと言う神秘主義でもない。
 人間なんだから、ちゃんと頭を使えという話である。

 健康の件だって、口当たりのよい情報に飛びつくのではなく、科学的な根拠に従い、本当に健康の役に立つことや、意味ある行為を考えなければ意味がない。
 恐怖については、それに対する正確な理解以外、対抗する方法が存在しないのだ、と言う事を人々は忘れがちである。

 信仰とは、ルールを一度覚えてしまえば、あとは考えなくてもよいと言うマニュアル主義と同じである。決められたルーチンに従って、同じ作業、同じ生き方を繰り返すばかりだ。
 それは楽だし、簡単なことだ。
 人は、健康だとか幸福だとか、充実感、人間的成熟と言った文句を使って、そうしたルールをどうにか優れたものだと信じ込みたくなる。それも、人と比べて。
 ルールに従って写真を撮り、機械的に現像して……そんなものが、一体何になると言うのだろう?

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