2013年2月11日月曜日

一眼を使わない写真趣味②~フィルム導入編

 先ずはフィルムの説明から。
 デジタルネイティブな人には信じられないかもしれないが、写真を撮ったら写真屋さんにフィルムを持って行かないと、写真を見る事が出来ない。

現像

 冗談のようだが、現像とプリントの区別の付かない人も多いので、実は重要なお話。
 近頃は、デジカメプリントのことさえも、現像だなんて言う人もいて、困ったモノです。
 デジカメで現像と言えるのは、高級コンパクトデジカメから、デジタル一眼レフ、ミラーレスの類が出力するRaw画像ファイルをJpegファイルに変換する作業の事を指します。

 フィルムカメラ(と言うか、デジタルじゃない写真全般)で現像というと、撮影後のフィルムを化学処理する事を指します。
 写真フィルムは、光に反応する薬品が塗布してある薄いフィルムの事。
 ただ写真を撮っただけのフィルムは、他の光が当たれば、当然その光にも反応してしまう。
 と、言う訳で、それ以上、光に反応しないように化学処理を施さなければなりません。その処理の事を現像と言います。

 自宅で処理する人もいて、お店に出すよりも安く仕上がると言うお話も聞きます。
 現像の仕方にも色々工夫があり、自分好みな仕上がりを追求する楽しさがあると言います。
 私は不器用なので、やる気が起こらないのですけど……
 この場合、ダークバッグと言う袋の中で作業を行うので、暗室は不要です。

 因みに、フィルムに塗布されている薬品はハロゲン化銀と呼ばれまして、この種の物質のことを日本語で塩(えん)と言います。(食塩も塩化ナトリウムと言う化学物質の一種です――化学物質じゃない物質はこの世に存在しませんからね)
 銀の塩なので、この類の写真を銀塩写真と言います。
 なんで、こんな言い方をするかというと、薬品を塗布するのはフィルムだけではないからです。
 ガラス乾板や銀板写真など、基材(薬品を塗布する対象)がフィルムでないカメラがあったりするからです。(ここでは取り上げませんが)

プリント

 プリントは、その名の通り、写真をプリントすることです。
 プリントと言ってもプリンターで印刷する事ではなく、印画紙というフィルムの一種のようなものにフィルムを通した光を当て、画像を拡大します。
 この作業は、引き伸ばしとか、単に焼くとか言います。

 プリントも自分の家でやってしまう人もいるようですが、こちらは暗室がどうしても必要になります。
 お風呂でやる人もいると聞きますが、よく分かりません。
 また、機材と暗室を貸してくれるレンタルラボというものも存在します。試しに焼いてみたいな。って人は相談してみるのもいいですね。

 さて、お店に持ち込んで、現像からプリントまでまとめてお願いするのを、同時プリントと言います。
 かつて一家に一台ぐらいフィルムカメラがあった頃や、女子高生が使い捨てカメラを使っていた時は、現像する=同時プリントぐらいプリントしていたので、プリント=現像だと思われるようになったようです。

 焼き増しというのは、同じ写真を複数枚プリントする事です。また、一度現像したフィルムをもう一度写真屋さんに持ち込んでプリントしてもらう事も出来て、その場合は、プリントする写真を指定することも出来ます。

 現在は、プリントしなくても、フィルムをスキャナーで取り込む事も出来るので、現像のみを頼むと言う手もあります。

スキャン

 デジタル化には二つの方法があります、一つは自分で作業する方法、もう一つはお店で頼むという方法です。

 自分でやる場合、フィルムスキャナ、或いはフィルムスキャン機能付きのフラットベットスキャナのどちらかを買う事になります。
 フィルムスキャナは数千円の安価なものから、数万円の高価なものもあります。
 フラットベットスキャナの場合、高級機にしか機能が付いていないので、数万円のシロモノになります。
 安価なものの場合、写真の周辺が暗くなる場合もあり、そもそも解像度も高くないので、トイカメラ向けと割り切るべきでしょう。
 後述しますが、フィルムのフォーマットによって、使えるスキャナに制限が出てくるので、その辺も考慮の対象にしなければなりません。
 これは、現像と同じく、自分でやるには初期投資が必要だけど、一度買えば、無料で何回もスキャンが出来ると言うジレンマにぶち当たる事になります。

 お店でやってもらう場合ですが、最近の大抵の写真屋さんは、富士フイルムのCD化サービスをやっています。ただ、データのサイズが小さいので大きなサイズにプリントするには向かないようです。まとめてDVD化するサービスもやってるようなので、お店で相談するのもいいですね。

 ネット経由でスキャン(と現像)をお望みなら、「トイラボ(http://www.toylab.jp/)」とか「ねっとぷりん(http://www.printpit.net/prin/scan.htm)」言ったサービスがあります。
 調べれば、まだまだ出てきそうです。
 こちらは自分でサイズを選んでスキャンして貰う事が出来るし、フィルムスキャナでは対応してくれない特殊なフォーマットのフィルムでも、スキャンしてくれます。(こちらもお店によりけりですが)

でもお高いんでしょ?

 お店でやってもらう場合、現像が600円前後、プリントは一枚Lサイズ(89x127mm)で40円未満が相場です。
 ただ、ネットではもっと激安で現像やプリントをしてくれるサービスもあるので、「現像 最安値」なんかで検索すれば、もっと安いところは見つかったりします。
 また、デジカメプリントを専業にしている所もあるので、自分でスキャン(デジタル化)した画像を送ってプリントしてもらうって事も出来ますね。

 ただ、安いところを探すというのも悪くないけど、ここはリアルの写真屋さんを利用することをお勧めします。
 困ったときに相談することが出来るからです。
 この前なんかは、カメラの中に引き籠もって出てきてくれないフィルムを無事救出してくれた。こう言う事は、普段からお付き合いのある所だからこそ、気軽にお願いが出来るのだから。

フィルムの種類

 フィルムの種類は、色の有無の違いと、大きさの違いで分けることが出来ます。
 それに加えて、ISO感度による違いもあります。

色による違い

 色の有無の違いは、モノクロとカラーの二種類があります。
 もう少し正確に言うと、カラーにはネガとリバーサルの二種類があります。
 昔はもっとこの辺が混み合っていて、モノクロのリバーサルなんてものもあるし、リバーサルの中には内式と外式があって……と賑やかだったのですが、今は残念なことに、モノクロ、ネガ、リバーサルの三種類を覚えていれば充分です。

 モノクロフィルムはその名の通り、モノクロの写真が撮れるフィルムです。
 現像の方法に違いがあって、現像に出すと帰ってくるまでに数日待たされる場合と、カラーネガの時と同じように数十分から二時間程度で現像できるものもあります。
 「カラーネガフィルムと同じプロセスで現像できます」と謳っているフィルムが後者になります。

 カラーネガは、一番流通しているフィルムです。
 露出が多少間違ってもいいあんばいにカバーしてくれるので、いい加減なカメラ(撮影者)でもしっかり写るって言う訳なんです。
 現像時間は早く、数十分から一時間程度(混み合っている具合による)で現像が仕上がります。
 フィルムを見ると、色が反転しているので、そのままでは分かりにくいですね。

 リバーサルフィルムは、スライドフィルムやポジフィルムとも呼ばれます。
 発色がネガに比べてよく、解像度も高い傾向にあります。(そうじゃないのもあるけど)
 お店で現像すると、数日待たされるフィルムです。
 現像後は、普通の写真の縮小版のようにちゃんと見られる形になっています。

 他にIRフィルムなどがありますが、特殊なので切ります。

 フィルムには様々な種類があります。カメラ屋さん(名古屋ならビックカメラやトップカメラ辺り)や、トイカメラの扱いのある雑貨屋さん(名古屋ならメイチカとかサンロードとか、矢場町とか、ヴィレッジバンガードとか)を回れば、いろんなフィルムを見つける事が出来ます。
 ネット通販を使う手もあります。富士フイルムの直販もあれば、Amazonで検索しても出てきます。また、変わったフィルムをよく取り扱っている「みらいフィルムズ(http://miraifilms.jp/)」というところもあります。

大きさの違い

 フィルムには様々な大きさがあります。この大きさのことを、フォーマットと言います。
 現在よく流通しているのは主に3種類。135と120と110の三種類です。
 フォーマットは、フィルムとカメラで一対一の関係にあり、135が入るカメラに他のフィルムは入りませんし、他も同様です。(一部、他のフォーマットのフィルムを入れるアタッチメントが付けられるものがあります)

 135フォーマットは、通称35mmフィルムと言われ、一番流通しているフィルムです。気取った言い方をするとライカ判とも言います。
 円筒状の側面が一部飛び出していて、上部には出っ張りがあると言うフィルムです。
 写真に興味のない人は、古い人でも、このフィルムしか知らないかも知れませんね。
 トイカメからクラシックカメラまで……LOMO LC-A、NikonF、ライカまで多くのフィルムカメラが35mm判です。


 120フォーマットは、中判フィルム、ブローニーフィルムとも呼ばれて、35mmよりもずっと大きなフォーマットです。
 その為、基本的に画質が良いです。
 中判カメラと言えば、ハッセルブラッドなどの大きく、しっかりしたカメラもありますが、HOLGAやDiana+と言ったトイカメラも、このフォーマットです。二眼レフも多くは中判ですね。
 また、最近でも富士フイルムのGF670や、ロモグラフィーのBelair X 6-12なんてカメラが発売されています。

 110フォーマットは、逆に小さなフォーマットで、ワンテンフィルムと呼ばれます。
 有名どころは、世界最小のレンズ交換式カメラであるペンタックスAUTO110、ブリッジカメラみたいなミノルタ110ZOOM、小さな箱形ローライA110、カメラと言うには何もなさ過ぎるだろって言えるハリネズミカメラ、あと、最近ではロモグラフィーから幾つかカメラが出ていますね。
 最近になって、フィルムが再生産されたので、急に注目されるようになりました。
 でも、継続的な生産がどこまで続くのか不明……他のフィルムでも同様だけど、その懸念が一番強いフィルムだとも言えます。

 他は、127フィルム(ベスト判)や、ミノックス、大判フィルムが市販されていますが、そこから始める人は少ないだろう……って事で、端折ります。
 まだ、他にも沢山フォーマットが存在しますが、量産していないものばかりなので、どうしてもそう言うカメラを使いたいって人は、120フォーマットや35mmフィルムを裁断し、巻き直して使う人もいます。

インスタントカメラ

 最後に忘れていけないのがインスタントカメラです。
 これは、撮影して十分から三十分で、プリントされた写真を見る事が出来ると言う便利なカメラです。
 フィルムが高く付くんだけどね。

 現在新品のカメラが手に入るのは、富士フイルムの「instax mini チェキ」と「instaxワイド」の二種類だけです。
 フラッシュ付きのカメラが五千円程度で手に入ります。

 他には、HOLGAROIDなんていう、インスタントフィルム対応HOLGAや、LOMO LC-A+のインスタントバックなんてのもあります。

 もう一つは、ポラロイドの中古カメラを買うという手があります。
 SX-70、SKR680、ポラロイド1000なんかがそれに当たります。一万数千円から五万円までの間で取引されています。
 中古カメラ屋さんに行くと、ジャンク品の箱の中に千円程度で転がっている事がありますが、それは対応フィルムが生産されていない場合が殆どなので、機種が分からなければ無視するのが一番です。
 フィルムは、Impossible Projectと言う所から出ていますので、これを使います。対応表はここが便利です(http://www.sx70.jp/howto/film.html)

ISO感度のこと

 あと、感度についても説明します。
 デジタルカメラを触っている人も知っていると思うけれど、暗い場所で撮影するには感度の高いフィルムを使うといい、でもそうじゃない場合は、低感度のフィルムの方が綺麗に映る。……が、フジのISO400のリバーサルなら、そこらの怪しいメーカーのISO200のフィルムより全然よく写りますがね。

 普通の日中はISO100や200のフィルムで、400は薄暗くても何とかなる。800では、逆に明るい所で撮りにくいかも。1600となると……
 と言いつつ、シャッタースピードや絞りに自由度があるカメラなら、ISO1600で日中撮影する事も出来るので、その辺はカメラの性能と相談になります。

 最後に、一つだけ言わせてもらうなら、フィルムは撮りきらない限り違うフィルムに入れ替える事は出来ません。
 ポラロイドは裏技でそれも出来るけど、他のフィルムカメラは無理です。残りの撮影枚数を全部捨てて巻き戻すというセレブな技がないとは言えませんが……



 ああ、フィルムのことだけで、こんだけ書いた。
 次は、何から始めれば良いか、どういうタイプのカメラがあるのか? と言う所を攻めていこうと思います。


※以下追記

フィルムの使用期限

 フィルムにも使用期限というモノがあり、これを過ぎたフィルムは色の出方がおかしくなったり、画面が荒くなったりします。
 わざとそう言うフィルムを使う人もいますが、基本的に、使用期限以内で使うようにしましょう。
 また、撮影し終わったフィルムは、なるべく早く現像に出した方が良いです。

フィルムの出し方

 写真屋さんにフィルムを出すとき、現像のみなのか、同時プリントなのかを言います。同時プリントの時は、プリントのサイズや印画紙の表面(光沢や梨地など)を指定します。
 お店によっては、色調、明るさを調節してくれる所もありますので、お店のWebサイトがあれば、一度確認してから出掛けた方がいいですね。

 リバーサルの場合は、スリーブかスライドかを指定します。普通はスリーブで大丈夫です。
 スリーブは、ネガフィルムのように、六枚で一組になるようにフィルムが切られて、一枚ずつ袋に入れられた状態で戻ってきます。
 スライドと言うのは、一枚一枚がケースに入っていて、スライド映写機にセットできる形になっております。

 基本的に、どんなフィルムでも現像してくれると思いますが、場合によっては取り扱えないと断られる写真屋さんもあります。ロモグラフィーのフィルムをビックカメラに持ち込んで拒否られた事があります。


(2013/02/12)

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