写真に関わる消費には幾つかの種類があるので、分類しておいた方が良い。
人間は自分をよく騙すから、この辺に関して、しっかり意識してないと、写真の趣味なのか、カメラの趣味なのかが分からなくなってくる。
①純粋にその商品が欲しい
②撮れないものが撮れるようになる装備
③今よりも綺麗に撮れるようになる装備
④今より楽に写真が撮れるようになる装備
⑤現状を維持するための消費
①に関しては、語るところが少ない。
所有欲、自尊心の充足と言うだけの事で、ただのカメラ趣味である。
カメラ趣味も追求すればよい語り部にクラスチェンジ出来るけれど、2chや価格コムの掲示板辺りから仕入れた、微妙な情報ばかりの人に陥る危険も伴う。
しかし、こういう人のお陰で、カメラ業界が生きていられるのだから、そう言う人を見ても、生暖かく見守ってあげましょう。
②を最優先に投資した方がいいだろう。
今、50mmF1.8のレンズを持っていて、「次は50mmF1.4だな」って思っているなら、一歩下がってみた方が良い。
ひょっとしたら、85mmF1.8にした方が、選択できる画角が増える事になる。
60mmF2.8でマクロ撮影に挑戦してみるって言うのも面白いかも知れない。
たかだか、2/3段階しか明るくならない。ボケの量は増えるかも知れないが、F1.8ではどうしても撮れない写真が撮れるようになるとは限らない。
これはカメラを買い換える事にも繋がる。
カメラをもう1モデル我慢すると、結構良いレンズが一本増やせるだろう。或いは、クリップオンのフラッシュを買ったって良いかもしれない。
②だと思っていた装備は、実は③や④だったりするかも知れない。逆もまた然りである。
先のF1.4にしたって、ズームレンズを使っているから、軽く3段階は明るくなるよって言う事情なら、それは撮れないものが撮れる様になる装備だって言える。
少しだけ、冷静になって考えてみると良い。
③は②との線引きが難しい。
先の新しいカメラに関しては、分かりやすい例である。
「高解像度」は綺麗に写る事を意味するが、同時に「大きく引き延ばす」場合には、それ自体が先のカメラにはない機能だと言える。
照明機材に関しても同じだ。
単純にレタッチに頼ったり、ISO感度を上げずに済むってだけならば、③に分類されるけれど、その照明がないと撮影が出来ないって場面があるなら、それは立派な必須装備なのだ。
④も難しい話だ。
高い三脚や雲台も、精度が良い方が、構図を決めるのが楽だと言えるし、相手が軽いカメラならただの見栄だ。
しかし、安定性が低ければ解像感が減ってしまうから、やっぱり②や③に分類されるだろう。
便利なカメラバッグや速写ストラップの類だって、シャッターチャンスのロスを減らせると言えば、その通りかも知れない。
ハンドストラップは、ホールドを容易にしてくれるから、単に楽になるという範囲に止まらない。
⑤はどうしようもなく必要に迫られる。
フィルムカメラならば、フィルム代や現像代がそうである。
カメラが故障すれば修理に出さなくちゃいけないし、写真を保存するハードディスク、バックアップ用のメディアは、待ったなしで必要になる。
防湿庫辺りは迷うところだろう。本当に必要なのか? でも、湿度計を見ると怖くなるな……
こういう場面で、この装備がなければ――なんて強迫観念を持つ人もいるだろう。
そこまで来ると、病的かなぁと言いつつ、趣味は病気の始まりだからなぁ。
カメラを買い換えると、現像ソフトが対応していないなんて事もありうる。
そして、そうしたソフトを買い換えると、パソコンの性能が必要になるだろう。
一つの改善が、数珠つなぎで消費を加速させる可能性がある。
とまぁ、レンズ沼、機材沼の泥沼から這い出すための知恵の筈が、その沼の深さを露見させることになってしまった……
しかし、投資、投資とエラソーな事言うけど、結局は自己満足だし、好きなものに無駄金を沢山使って、気持ちだけでもリッチになるのは、そんなに卑下すべき事じゃないんじゃないかな。
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