2014年3月5日水曜日

オープンソース・カメラなんて無理な話で

 Androidが元々カメラ向けのOSだったと言う話があるが、同様にオープンなイメージセンサや合焦技術なんかがあれば、デジカメを手作りする人々も出てきたかも知れない。

 AFは兎も角、カメラの原理は実に単純で、ピンホールカメラなんかでは、フィルムカメラを自作する人は多い。
 ミロスラフ・ティッシーのカメラは手作りであったし、レンズは中古品だが、レゴでシノゴのカメラを作った人も居る。

 市販のキットで言えば、LastCamera学研二眼レフ、クロ35(クマ35など)なんかが有名どころだ。

 と、言う事で、フィルムカメラが作れると言う事は、これをイメージセンサと液晶、記録媒体なんかに置き換えれば、自作デジカメも可能である。
 と、言う所で思い出すのは、自作スキャナカメラだ……けど、ここまで自作するには、光学の知識だけではなく、制御技術だの画像処理技術だのと言う特別な知識が必要となって、おいそれと手を出せるものではない。

 一応、自作デジカメキットとして、Bigshotなんてものがあり、上手い具合に改造すれば、ズームレンズにしたり、Cマウントなんかを付けて……と言う所で、その昔、トイカメにCマウントを組み込んだ人がいた事を思い出した。


 でも、レンズ付け替えるだけの改造だけで満足するようではなぁ。
 トイカメにしてもデジカメキットにしても、結局、制御は全部カメラ側が自動で行ってしまうのだから、撮影の自由度は、むしろスマホの高度なカメラアプリよりも低くなってしまう。
 別に、メーカー製のカメラより使い勝手のいいカメラが作れてしまうだなんて思わないけど、もっと自由に遊べたらなぁ。とか思ってみたりもする。


 ただ、そんなモン作って、誰の商売として成り立つの? って考えると、ごく一部のマニアが喜ぶだけになる。
 要するに自作PCみたく、組み合わせ自由でカメラ作れるってなると、マザーボード的な基盤と、光学センサー用のモジュールと、AFなんか動かす超音波モーターモジュールと、タッチパネルの液晶をそれぞれモジュール化した規格がなくちゃいけない。何処のメーカーが金出して規格を作るっていうんだよ!

 第一、トイカメやWebカメラ用の、汎用センサーをAndroidで動くようにするってのなら、Raspberry Piに、カメラモジュール組み込むのとどう違うの? って言われたら、もうどうしようもないしね。




 さて、何でこうも無意味な話をしたかと言うと、山寨手機って言う、パチモン携帯電話が念頭にあったりします。
 もう、何年も前の話題ですが、iPhoneっぽいノンブランドのスマホとか出てきて問題になりましたね? アレなんです。
 そして、山寨コンデジなんかも、その頃から出ていまして、自作PCほど簡単じゃないけど、それなりに技術があれば、携帯電話もコンデジも作れちゃうね? って事がはっきりしたんですね。

 コンデジが売れなくなったのは、勿論、世のトレンドがそれじゃないと囁いているからって言うのがあるんですが、売れないにしても作る側が少なければ、商売は成立する筈なんです。
 それがイマイチなのは、中国でバカスカ作れてしまうからなんです。

 ただ。中国の反パチモンキャンペーンのお陰か、それとも単純に「安かろう悪かろうじゃダメだね」って、中国人が気付いたからなのか知らないが、近年は山寨機なんて全く聞かなくなりましたね。
 ここ一、二年の記事を探せば、「絶滅寸前」とかそんな文字が躍るぐらいです。

 それなら、業界は安泰だね。って事はなくて、「誰でも作ろうと思えば作れる」ってモノ、つまり潜在的に供給過剰になり得る商品は、その可能性があるだけで、安く見積もられてしまいますよね?
 って事情もあって、あまり美味しい商売じゃなくなったのです。


 今生き残っているカメラメーカーって、一眼レフ作れるような所ばかりですよね?
 少なくとも、デジカメ前夜までに淘汰されたメーカーって、(フィルムの)一眼レフが売れ始めて消えていった所が多いです。

 使い捨てカメラなんか分解すると、レンズは薄っぺらいプラスチックが一枚入っているだけなんです。
 HOLGAやその手の安いカメラを引き合いに出すのはアンフェアすぎるかも知れませんが、真面目にレンズ(ユニット)を作っていた会社は、今はカメラを作らず、強みのある分野で光学機器メーカーとして生き残っていたりします。
 逆を言えば、そう言う光学的なノウハウを持っていても、一眼レフは容易に作れなかった(商売にならなかった)訳なのです。

 何が難しいって、①シャッターが押される ②レフレックスミラーを上げる ③絞りを所定の絞りまで絞り込む ④シャッター幕を動かす ⑤絞りを開放に戻す ⑥レフレックスミラーを下げる。って言った一連の動作を正確に行わなければならないのです。
 ここにAEの仕組みが加わったりするわけですから、そこには凄いノウハウが必要なのが分かります。
 デジカメで一眼レフを作っている(いた)メーカーで、元々光学メーカーではないのはSONYとPanasonicがありますが、前者はMINOLTAから事業譲渡されたものですし、後者はL10ってカメラを出していましたが、OLYMPUSのE-410をベースに作られたと言います。(D300とS1Proみたいな関係ですかね?)
 要は、取ったか見たかでは作れなかった訳なんです。

 ここに来て、その状況を打ち崩したのが、ミラーレスなんです。
 分かりやすいのは、ミラーレスが登場して早々に、サムスンがミラーレスのカメラを発売した事です。
 勿論、彼らがゼロスタートでここまで作ったとは思いませんが、しかし、贔屓目に見ても、一眼レフより技術的なハードルは低かったのだと言えるでしょう。

 また、ミラーレスと言うにはちょっと違う感じですけれど、SIGMAのDP1にMマウントのレンズを付けられるように改造する、中国発のサービスなんて話も聞きますね。
 中国は既に、パチモンデジカメを作っていた技術がありますから、品質の問題や、そもそも売れるかどうかは別として、「工場で(安価に)生産する」って事は可能だと見て良いでしょう。

 ミラーレスそのものは、一眼レフよりも将来性があるかもしれませんが、「それなりの規模のメーカーなら作れる」と分かると、他も黙って居られなくなるでしょう。
 勿論、ミラーレスの市場自体が未だに不透明感があるので、すぐにそう言う方向になるとは思いませんが、可能性だけはあるでしょう。
 そして、市場がそれを経験してしまえば、過当競争に入ってしまう可能性はあるのです。

 (コンデジに比べ)ハイエンドなカメラは、完全に趣味の世界ですから、ブランド力なんかで商売していけば、ミラーレスでも生き残れるでしょうけ。けれど、それは勿論、コンデジの高級機や一眼レフを売っていくのと本質的には変わりません。
(逆を言えば、新参者は早いうちに手を出して、市場に存在感をアピールしなければ、過当競争になったとき厳しい事になると言う予想も付きますが……)

 なお、HasselbladがSONYのEマウントでカメラを発表しましたから、ブランド力で綱引きする勝負はもう始まっているのかも知れませんね。



 最後に夢のような話をすると、将来、カメラの性能が極端に上がったり、目の中にカメラが組み込まれてしまうような、時代になれば、カメラそのものを云々するという趣味が、単なる骨董趣味に落ち着いてしまうでしょう。言ってみれば、現在のフィルムカメラの趣が、カメラ趣味全般の事になるです。
 そうなったとき、カメラメーカーは、スイスの高級腕時計のような形で生き残るかも知れませんね。
 小さな工房が乱立して、今の価値で言う所の何百万円何千万円という価格で取引される時代となるかもしれません。
 さもなくば、芸術作品として作られる刀のような、僅かに作られるだけの存在になるかも知れませんね。