言葉のこと
先ずは用語の説明だけど、フラッシュもストロボも、そしてスピードライトや、エレクトロニックフラッシュと呼ばれるモノは、全て同じものである。
各社で呼び方が違うだけである。
以前、何処かのブログで、「スタジオにあるようなのがストロボ、外付けのがスピードライト、内蔵がフラッシュと言う」とか訳の分からない事を言っていて、ぎょっとしたことがある。
当然、突っ込みが入っていたが、どうやら思い込みで書いていたらしい。
「ストロボ」は、元々ストロボリサーチ社の商標であったが、現在は失効しているので、使いたい所が適当に使っている。
なお、カメラのホットシューに取り付けるストロボを「クリップオン・フラッシュ」なんて言ったりします。
スタジオで使うようなストロボには、ジェネレーターとフラッシュヘッドの二つに分かれたものと、二つが一つに組み合わさったモノブロックのストロボと言うものがあります。
こんな偉そうなこと書いて、スタジオ撮影とかしないから、細かい所は分かんないです。
ストロボを発光させることを「焚く」なんて言い方しますが、これはその昔、マグネシウム粉末を「焚いて」光源としていたからです。
小学校か中学校の理科の実験で、マグネシウムリボンを燃やした事ってありますよね? 白色の強い光が、瞬間的(電気で動くストロボに比べれば遅いのですが)に走るのです。
その後、閃光電球などを経て、今は、電気で動作するストロボが殆どの場合使われます。
閃光電球もフラッシュ扱いなので、これと区別する時に、エレクトロニックフラッシュと言う言葉を使います。
プロセス
ストロボが何をやっているかというと、明るい光を当てると言う事をやっているだけである。
では、それが写真となるプロセスはどうなっているだろうか?
ここでは、他に照明や窓のない真っ暗な部屋を想定しよう。
被写体とカメラ、そしてカメラにはストロボが内蔵されている。
①カメラマンは、カメラのシャッターを切ると、シャッター幕が開き、露出が始まる。
しかし、この部屋は真っ暗なので、イメージセンサーには光が入らない。
②ここで、ストロボが発光する。
人間の目には一瞬だが、スローモーションで見れば、一定時間続く光である。
③強い光が当たった被写体をカメラのセンサーが捉える。
④そして、ストロボの発光が終わり、闇に包まれると、シャッター幕は閉じる。
本当のところは、少し違う所※があるが、概念はこう言う事である。
この時、ストロボが光っている間と、シャッターの開いている時間は同期する必要がある。
つまり、ストロボの光が十分でないうちにシャッター幕が閉じてしまうと露出が不完全になってしまうからだ。
シャッター幕が長く開いている分には露出は変わらないが。問題となるのは必要最低限の一番短い時間となります。
これはフラッシュによって違っており、このシャッタースピードのことを「シンクロタイム」と言う。
後述する、"スローシンクロ"とか、"日中シンクロ"のシンクロとは、このシンクロタイムのことである。
シンクロタイムは、最近のストロボでは1/250秒が殆どです。
しかし、少し古くなると1/125秒や、1/60秒も必要になります。※少し違う所
本当のところは、シャッター幕は(基本的に)横へ走るので、その走っている間光っている必要がある)
ガイドナンバー
ストロボの性能の指標として、ガイドナンバーというモノがある。略して「GN」とか「G.N.」とか書く。
ガイドナンバーとは、一言で言えば、ストロボの光の強さの事だ。
この数字が大きければ、強い光を出すことが出来るという意味になる。
強い光が出ると言う事は、どういう影響を及ぼすだろう?
先ずは、絞りを大きく絞り込んでも、十分な光で被写体を照らすことが出来る。
或いは、遠い所にも光を当てる事が出来るだろう。
つまり、F値と被写体とストロボとの距離の関係になる。
その具体的な計算式は以下の通り。
強い光が出ると言う事は、どういう影響を及ぼすだろう?
先ずは、絞りを大きく絞り込んでも、十分な光で被写体を照らすことが出来る。
或いは、遠い所にも光を当てる事が出来るだろう。
つまり、F値と被写体とストロボとの距離の関係になる。
その具体的な計算式は以下の通り。
a = g / d * √[s/100]
a : 絞り
gn : ストロボのガイドナンバー
dn : ストロボと被写体との距離
s : ISO感度
例えば、ISO200の感度にして、ストロボのGNが12、被写体との距離が、1.5mだとしよう。
この状態でフラッシュの光を直接当てるとしたら、どのような絞りが最適だろうか?
12 / 1.5 * √(200/100) = 11.3
答えは、F11である。
フラッシュを焚く場合は、シャッタースピードは基本的に無視である。
先の例では、全く暗い部屋を想定したが、しかし、フラッシュが必要になる条件とは、カメラにとって大抵、真っ暗と言える条件だからだ。
先の例では、全く暗い部屋を想定したが、しかし、フラッシュが必要になる条件とは、カメラにとって大抵、真っ暗と言える条件だからだ。
試しに、夜間の室内(蛍光灯程度の明るさ)でF5.6、ISO感度200、SS1/125secで撮ってみよう。
真っ暗な写真になるはずだ。カメラにとっては、事実上、光が存在しないのと同じなのだ。
しかし、この状態でストロボ(カメラ内蔵のものでよい)を焚くと、しっかりと写るはずだ。
つまり、ストロボの光のみを使って写真を撮っていることになる。
もう一度言うけど、後述する、日中シンクロとか、スローシンクロは、通常の環境光も利用した上でストロボも使うというワザである。
尤も最近のカメラとストロボは、この辺をしっかり自分で計算してくれるので、あんまり考える必要はなかったりします。
最悪でも、デジカメならトライアル・アンド・エラーで何とかなりますからね。
カメラから離して使う場合
ストロボは、カメラにくっつけた状態で使われる事が多いですが、これを外して使用することも可能です。
これは、例えば、被写体の脇から光を当てたいとか、複数のストロボを焚きたい時などに使います。
メーカー純正のカメラとストロボの組み合わせの場合、この辺を良い感じにやってくれる仕組みがあります。(ニコンノ場合は、クリエイティブ・ライティング・システムなんて言いますね)
大抵は、赤外線で通信を行い、発光量の加減を自分たちで決めてしまうのです。
しかし、それ以外の接続の方法もあります。ケーブルで繋ぐ場合と無線で繋ぐ場合、そして受動的に光るストロボを使う場合です。
ケーブルを使う方法は、カメラとストロボにある、シンクロターミナルをシンクロコードを使って接続します。
シンクロターミナルは、最近は一部の高級機にしか装備されていません。
そうでないカメラでこれを使用する場合、ホットシューに「シンクロターミナルアダプター」と呼ばれるものを取り付けることで利用可能になります。
簡単に説明すれば、ホットシューの電極をケーブルにして延長したのが、シンクロターミナルとシンクロコードと考えて良いでしょう。
無線で行う場合は、「ワイヤレス・フラッシュ・アダプター」(商品名によって多少異なる)なんてものを利用します。
これは、カメラ側に親機、ストロボ側に子機をくっつけて使用します。
これらの道具は、ホットシューまたはシンクロターミナルを使って、カメラやストロボに接続します。
この手の商品は、海外からの輸入品も沢山ありますが、一部電波法に引っかかる商品もあるので、ちゃんとした所で買った方がよいでしょう。
これらの方法を用いずに、何処かで光ったストロボの光を受けて、自分も光り始めるという仕組みもあります。
これをスレーブ機能と言い、サードパーティのフラッシュに搭載される事が多いです。
また、スレーブ機能だけを持つストロボも存在しています。(EX:ヒカル小町)
手持ちのストロボにスレーブ機能が付いていない場合、スレーブユニットと言うものを使う事も出来ます。
スレーブユニットは、シンクロターミナルを装備するものと、ホットシューで繋がるもの、そして両方で繋がるものもあります。
因みに、これらの方法では、シャッターを押したという信号だけが発信されるだけなので、発光量は、マニュアルで決めなければなりません。
多灯
複数のストロボを利用する時、(同じ機能を有する)純正品だけを利用する場合以外、マニュアルでの撮影を強いられることになる。
デジカメ時代なんだから、トライアル・アンド・エラーでやっていけばいいことなんだけどさ。
それでも、一応計算の方法を書いておきます。
a = √[ (g1/d1)^2 + (g2/d2)^2 + (g3/d3)^2 + …… + (gx/dx)^2 ] * √[s/100]
a : 絞り
gn : n番のストロボのガイドナンバー
dn : n番のストロボと被写体との距離
s : ISO感度
古いタイプのストロボ
ジャンク品でも使えるものは使えるのだけど、古いタイプのストロボや、(HOLGAなどの)トイカメ用のストロボの場合、高電圧がそのままホットシューに掛かるので、デジカメなどの機器には使わない方が良い。
一応保護回路や、そういうストロボでも使えるような仕組みなどが搭載されているようだが、何かを保証している文言を見かけたこともないので、使用しないに越したことはない。
日中シンクロ
日中シンクロとは、日中でもストロボを使うワザである。
例えば、背景は明るいが、被写体は日陰に入ってしまっている場合に使う。
照明を当てるとか、レフ板を使用すると言う方法以外に、ストロボを使うという手もあるのだ。
背景には、ストロボの光は届かないので、絞りやシャッタースピード(勿論シャッタースピードは、シンクロスピード以下にしなければならないが)、そしてISO感度を背景の明るさに合わせて決める。
そして、被写体への光は、ストロボの発光量を加減してやる。
そうすると、明るい背景の中に、被写体が埋もれると言うことがなくなる。
しかし、問題が生じる。
日中で撮影する場合、シャッタースピードはどうしても1/2000秒とか、かなり速いスピードになってしまう。これを無理矢理1/250秒なんかに設定すると、とんでもなく絞り込まなくてはならなくなり、背景をぼかしたい場合なんかに使えない方法となる。
こういう時に取り出すのがNDフィルターである。
絞りを絞り込まなくても、入ってくる光を低減させられるので、日中シンクロがやりやすくなるのだ。
スローシンクロ
では、夜景を撮る時にはどうだろう?
ストロボで撮ると、モデルは美しく写るが、背景の街の明かりやイルミネーションが撮影出来ない。
かといって、ストロボを使わないと、モデルが真っ暗になってしまう。
ここで思い出して欲しいのは、ストロボが必要な時は、基本的に真っ暗だと言う事だ。
先ず、シャッタースピードを充分に落として、イルミネーションや夜景に撮影条件を合わせる。
(そのまま、フラッシュを焚かずに被写体を撮影すれば、被写体はほぼ真っ暗な状態である)
先に言ったように、遠い背景にストロボの光は到達しないので、この設定で、フラッシュを被写体に当ててやると、見事、両方共の露出が合うようになるのだ。
さて、スローシンクロで、走る車を撮影するとしよう。
露出時間は2秒とする。
ここで、二種類の写真の可能性が出てくる。
ストロボが光るのは、一瞬である。この光は、2秒の中のどのタイミングとなるだろうか? シャッターを押した直後なのか、それともシャッターが上がる直前なのか?
先にフラッシュが焚かれると、車の姿は、シャッターを切った位置に現れる。そして、その位置から、進行方向に向かって、ヘッドライトの光が伸びていく。
後にフラッシュが焚かれると、今まで走ってきたヘッドライトの軌跡の先に自動車の姿が撮影されることになる。
先幕シンクロ、後幕シンクロと呼ばれ、先にフラッシュが焚かれるのが、先幕シンクロで、後に焚かれるのが後幕シンクロである。
ストロボについては、ざっとこんな所。
スタジオ撮影用のストロボなんかについては、知識が追いついていないのでご免なさい。
機材も複雑で、沢山の種類が存在します。
尤も、そういうのは、スタジオマンの仕事だし、彼らもプロなので、スタジオを使うとなった時に、どのようなセッティングが良いのか、一度相談してみるべきだろう。
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