2015年3月1日日曜日

良いものは高い

 何かにつけて、そんなものです。但し、高いものは良いと言う訳でもないので、その辺も色々考えなくちゃなぁ。

 安くて良いものってのは、要するにコストパフォーマンスの事だけど、パフォーマンスとコストが一義的に決まるものでなければ、この言葉は、実に感覚的な意味しか持たないわけです。

 例えば、写真の事なんてどうでも良い人にとっては、スマホだろうが、高級一眼だろうが"パフォーマンス"は同じ訳ですし、引き伸ばした写真を虫眼鏡で点検するような輩にとっては、安いレンズの画質なんて評価しないから、一円のコストでも無駄と言う事になります。


 さて、そこでもって、良いレンズって何だろうかと言う事になるわけです。
 レンズの明るさぐらいしか見ない人もいるでしょうが、この前書いたようにサムヤンの85mmF1.4買うなら、ニコンの85mmF1.8の方を買いたいわけですね。
 じゃぁ、何が悪いの? と言う所から考えなくちゃいけないわけです。


 良いレンズとは、一言に言えば、一点に集光する力の事です。
 もう少しかみ砕くと、解像感が高くて歪まないと言う事になりましょうか。こうした性能を、十把一絡げに収差なんて言葉を使いますけどね。
 収差って言ったって、曲面収差だの非点収差だのコマ収差だのありまして、この辺は上手く説明も出来そうもないので、そんなもんがあるんだなぁ程度で。

 で、まぁ、具体的にどの辺に問題が発生するかって言うと、画面の周辺になります。
 四隅を見てみて、暗くなったり、滲んだり、ピンが甘かったりと、レンズのアラはその辺に現れます。
 こういうのを定量的に捉えるのにMTF曲線と言うものが用意されていて、国内のレンズメーカーなら、このチャートが大体用意されてます。
 尤も、MTF曲線は半ば理論値みたいなものですから、俗に言うレンズの味だの空気感だのって言うのは、MTF曲線には出てきません。
 極端なお話し、トイレンズの光学特性なんて最悪ですけど、それを利用して「良い絵」を作る事は出来るのです。

 また、ボケ味とか言いまして、ボケの形が綺麗とか汚いとかありまして、二線ボケだの、ぐるぐるボケ、リングボケだの色々あります。(これも収差が影響するわけですが)
 この辺も、積極的にそう言う味を使おうって人までいるので、何とも言えませんね。


 ぶっちゃけ、この辺なんかは普通にレンズ名でググって、作例を確認するのが一番便利な方法だと思います。
 そう言う写真を見て、自分に許容できるなら、そのレンズは買って損のないレンズと言えるでしょう。
 そうして買ったレンズが、思ったほど使えないって思うのなら、単に貴方がそのレンズを使いこなせていないと言う証拠にもなるのですが……


 この前から散々書いているけど、タムロンの16-300mmなんて、画質的にあららと言う感じですが、あの値段で、しかもレンズ一本で全部済んでしまうと言う便利さと、画質とを天秤に掛けて、許容できるって言うなら、それは良いレンズと言える事です。

 また高いレンズは、概ね重くかさばるものです。
 ニコンの85mmF1.4は600gありますが、85mmF1.8なら350gです。体力に自信がない人が、一日中持って歩く事を考えると、この差は大きいかも知れません。
 300mmF2.8は3kg近くありますが、300mmF4.0なら755gとなると、三脚使わずに手持ちで行けるかなって感じにもなりますね。

 こういう部分を考えると、良いものが全てかと言うと、そういう訳でもなさそうです。

 そう言う一つずつを勘案しないと、無駄なレンズ資産を増やすか、お金がなくなるかのどちらかになってしまいます。
 と、言うことで、その辺は、カメラ屋さんで試す事も出来るので、店員さんに声を掛けてみたらどうかなぁ。

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