RAWで撮らんでも済む人は、JPEGで撮った方が良い訳だし、その辺は自分の考え次第で……
実際、画質で写真の価値が決まるだなんて考えるのはダサいしね。ただ、それは、ちゃんと画質の良い写真を撮った経験があって言える訳ですから、初心者や素人が"不良っぽい"事に憧れるのは、もう少し待ってからでもよいでしょう。
大体、素人が趣味で撮ってるなら、少しでも遊びの出来るポイントは多い方が良いし、そのお陰で使える写真が増えた方が嬉しいしね。
こういう話を言うと、甘えだ何だとお叱りを受けるかも知れないけど、別に報道カメラマン目指す訳じゃないんだし、いいんじゃないっすかねぇ。
それ以上に、RAWで編集していると、写真が上手くなります。(多分)
と、言うのも、案外、自分の写真をじっくり眺める機会ってないですよね。
現像処理って言うのは、(バッチ処理でもしない限り)否でも応でもそれを見ることになります。
そこで、問題点に気付き、更にそれを修正する事により、何をどうすれば写真が良くなるのか? を改めて考えることが出来るんです。
と、言う事で、修正ポイントを色々考えて行きましょう。
"作例"を出した方がいいんでしょうけど、「ウチの持ち出して本を出してもいいよ」と言われない限り、着手に数年かかりそうです。
どうしても欲しい場合は、私のケツでも叩いてやって下さい……Mじゃないんで、文字通り受け取らないでね。
※始めに
ツイッターなんかで「これからRAW現像しなくちゃ」とか言いつつ、WBも直さねぇ写真を上げている人とかたまにいます。何がしたいんですかね?
現像処理には、バッチ処理というのがありまして、現像ソフトの自動修正をそのまま適用して全部JPEGに変換する方法があります。
って、こんなの普通にカメラがそのまま出した写真と変わらないじゃん……
言い訳は幾つか思い浮かぶけど、それでどうドヤ顔出来るのかよく分かりません。
今回は、一枚一枚写真について考え、反省することが前提なので、バッチ処理は行いません。
尤も、レンズ補正を全部の写真に適用させるとか、基本的に彩度を上げた写真から修正したいとか、そういう場合は、現像設定を全部にコピーしちゃっても大丈夫です。
あと、タイムラプスの為に現像設定を統一する必要がある場合は、この限りではありません。
何を目的として、何の為にそうするのか考えて、適宜楽をして、適宜手間を掛けましょう。
①傾きの修正
傾かずに撮るのが一番なんですが、まぁ、細かいことは難しいですからね。
水平出しの為の道具もあるし、最近のカメラはそういうのを教えてくれる機能もあるのですが……物理的に水平が出ているのと、写真的に水平なのはちょっと違うんですよね。
例えば、前景に置いた柵が傾いている場合、人間の目は、この柵の方で水平を感知したりします。
背景に垂直に立つ木なんかがあった場合、どちらを優先するかは難しいですが、この辺は、PCの画面などで見ないと確認しにくいものです。
また、二種類撮ってみて、結局よかったのは、その二つの中間ぐらいの傾きって事もあります。
また、水平や垂直に当たる線が沢山あり、そのどれもが揃っていない場合、視覚の重心となる線がどこに当たるかというのは、意外に撮影時には分からないものです。
1度の傾きも随分印象を変えますから、この辺の修正は重要です。
10度も20度も変わってくる場合は、自分の冷静さを疑う必要も出てきますが、微調整はこの辺で行っても恥ずかしくないでしょう。
②レンズ補正 / 歪み補正
現像ソフトが修正データを持っている場合、適用させるのは便利かも知れません。
具体的に何をやっているかというと、レンズによる歪みを補正します。
ただ、修正しない方がいいって場合もあるので、チェックしたり外したりして、その違いを確認した方が良いですね。
また、Lightroom5では、歪みを補正する機能として、Uprightなんてテクノロジーを用意していたりします。(持ってないので何も言えませんが)
歪みとなると、撮影技術そのものでは到底カバーできないので、積極的に使っても良いでしょう。
しかし、広角レンズのパースは表現手段として、有利な場合もあります。考えながら使いましょう。
③トリミング
いわゆる切り抜きです。
仕方ないよね。
などと言うのはアレですが、トリミング前提で写真を撮る場合もあります。
有名どころでは、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「サン・ラザール駅裏」なんかがそうですね。
手前の柵越しに、トリミングする事を見越して撮ったそうです。
そういう例を出してしまうのは言い訳臭いのでアレですが、構図もへったくりもない写真を「折角撮ったから」と言う理由で世に出してしまうぐらいなら、ちゃっちゃとトリミングしちゃいましょう。
「センスねぇな」って言われるより「写真下手だね」って言われた方がマシだと思っています。
下手なら美味くなるもん。
まぁ、構図をワザと崩すってのが目的だったり、構図を気にしない写真を目指すと言うのが目的となるなら、トリミングも傾き修正もしない方が、"ストーリー"として成立する訳ですが、今回はそう言う話じゃないので、修正しちゃいます。
また、アスペクト比(縦横比)も調整しちゃいます。
まんまるなお皿に載った料理を真上から写した場合は、正方比(縦横が1対1)に修正した方がちょうど良いですからね。(そして、そう言う方針はなるべく、撮る時に決めておくことにしましょう)
最近のカメラは、カメラの設定で変更出来ますが、RAWファイルにはトリミングされないデータが保存されるはずです。
④WB(ホワイトバランス)
画面全体の色味を調整します。
カラーキャリブレーションをやってどうの……なんてやらない限り、現像処理でやっつけてしまってOKです。
カメラで修正しようと、PCで修正しようと、現実的に差はないからです。
後に、彩度の設定に関しても話しますが、カメラ内のこの辺の設定は、JPEGに変換するのに使われるばかりです。
RAWファイルは、生のデータですから、この辺の設定はせいぜい上乗せされる程度です。
グレーカードを使って、WBを補正して……なんて事を現場でやっても良いのですが、光源の方向や撮影場所が変わる毎に光源の色なんて変わってくる訳ですから、そういうのが気になる人は、カラーメーターでも買った方が楽じゃないですかね?
尤も、最近のカメラは優秀なので、AWB(オートホワイトバランス)だけで、がんがん的中します。
普通は意識しなくてもいいですかね――という訳にも行かないので、調整しましょう。
さて、補正の方法ですが、白或いはグレーの部分を抽出する方法が一番安定しています。
大抵の現像ソフトで、スポイトのアイコンをしているのがソレです。
ドールや着ぐるみ、或いは人間を撮影する場合は、白目の部分を拡大して、そこを基準点にすると、大体一発で決まります。
それ以外に、白いブラウスや、コンクリの路面なんかでも行けるかも知れません。
尤も、夕日が差しているとか、そんな環境なら、別にニュートラルな色に拘る必要はありませんよね。
或いは、"日陰"や"曇り"の設定に変更した方が暖かみのある写真になるので、桜の撮影の時には、わざとそうしてやる手もあります。
WBにうるさい人が居ますが、広告写真みたく色再現に対する要求が強くない限り、"真のWB"なんかに意味はありません。自分がいいように、その辺を調整すると、凡庸な写真でも突然ぐっと来る事もあります。
一つのことに拘る余り、目的を失ってしまうのは本質ではありません。
工夫次第で、様々なテイストに仕上げることが出来るのです!
そこで出てくるのが手動で補正することです。
この辺は、自分で色々いじって慣れるしかありませんけど……
変更できるパラメーターは二つ。
一つ目は、色温度です。
スライドバーを、片方に寄せると青みがかった写真に、反対側に寄せると黄色みがかった状態になります。
基本的に左側が青みがかった状態になりますが、全部のソフトがどうか知らないので、こんな書き方をします。
二つ目は色かぶりです。
これも、どのソフトも左側に寄せると、緑がかった写真になり、右側に寄せると赤みがかります。(ソフトによっては逆って可能性もありますが)
赤って言うよりマゼンタだし、青って言うよりシアンですが、まぁ、細かいことはどうでもいいです。
この二つを変更すると、様々な色調の写真を作れます。
⑤明るさ
仕方ないよね。
いやまぁ、露出1段階分ぐらいは普通にどうにでもなりますよ。
外でモニター見た時や、ヒストグラム見ても正常な場合はどうしようもないよね。
と……
無修正でも行ける写真でも、シャドウを持ち上げたり、ハイライトを押さえたりすると、もっと磨かれた写真になることがあります。
白飛び補正なんてのもあるので、救済措置には使えるかも。
なんて便利な道具があると、どんな写真でも階調を目に見えるようにしなければならないって気持ちになったりしますね。
影で暗くなった所を明るくしてみたり、明るすぎる所を押さえてみたり……
でも、そう言う方向に集中しすぎると、全体的に平面な写真になってしまいますね。
白飛び/黒つぶれ恐怖症みたいなのがあるようですが、「これらがあるからダメな写真だ」と騒ぎ立てるのは、所詮その程度の部分でしか写真を語れない連中です。
影を意図的に真っ黒にしたり、ハイライトを敢えて飛ばしてしまう写真だってあります。
重要なのは、何を表現するのか? であり、データの綺麗さを求めている訳ではないのですから。
⑥明瞭度 / シャープネス
その名の通り、明瞭になり、シャープになります。
前者はエッジを強調したりするんですかね。そんなもんです。
シャープネスは、全体的にシャープにします。
どちらも、ピンボケを補正することが出来るのですが……って最新のLightroomなんて手ぶれまで補正してくれます。
何から何まで便利になりましたね。
でも、本来は写真をブラシアップする為に使いたい機能ですね。
⑦ノイズ低減
明るさを持ち上げたり、明瞭度やシャープネスを補正すると、ノイズが目立つようになります。
そうじゃなくても、長時間露光やISO感度ガン上げすると、ノイズが目立ちますね。
ノイズ低減は、ノイズをぼかして見えなくする機能なので、当然、解像感が悪化します。
シャープネスを上げて、その上ノイズ低減をやるというのは……無意味ではないですが、何もやらない方がいい場面の方が多い気がします。
⑧彩度
鮮やかな写真にすると、なんか、めっちゃ上手い写真に見えるよね!
だから、画質が良い写真で喜んでいると、初心者臭く見えるんだって……と言う愚痴はやめましょう(ん
Lightroomだと、「自然な彩度」と「彩度」の二つがありますね。
他の現像ソフトでは、「自然な彩度」って名前が別の名前になっていますが、基本的にやる事は同じです。
「自然な彩度」は、彩度の低い箇所を持ち上げて全体的な彩度を整える機能です。
無印の「彩度」は、全体の彩度を一気に持ち上げる事になります。
上げるばかりが良いばかりではなくて、むしろ一気に下げてしまってみると言うのも手です。
まぁ、ゼロにするとモノクロになるのですが……この辺は別の項で。
彩度をいじりますと、全体的な印象が変わってきまして、WBを補正する必要が出てきたりします。
そして、WBが変更されると明るさが変わってきて……と同じような作業を繰り返すことになります。
まぁ、迷宮入りですね。
どこかでスパッと決めなくてはならないのですが。
⑨トーンカーブ
実はですね、この辺りの設定を一つの箇所で修正できたりするんですよ!
それが、トーンカーブ。
RAWいじらなくても、PhotoshopElementsにJPEG放り込んで修正できる!
と言うより、コレに関しては「トーンカーブいじりゃぁええんじゃね?」みたいな話が出てきます。
それで行けるなら、それで行ってもいいんですけどね。
トーンカーブは、いじりすぎるともう、何が何だか分からなくなって、迷宮に迷い込む可能性が高いです。
いやまぁWBでも充分迷宮の中に這入り込む訳ですが、こっちの方は、踏ん切りが付かないと延々といじり倒して、最終的に、「何もしない方が良かった」ってオチが待ち構えるので、あんましオススメ出来ません。
印刷屋さん曰く「素人が下手に触るより、何もいじらない写真を寄越せ」みたいな場合があるようです。
と、言うのも、トーンカーブをいじると、元のデータから「いらんと判断した部分」がばっさり切り捨てられるからです。
要するに、後で修正する余地がなくなるんです。
RAWいじっている分にはいいんですけど、JPEGはどんどん情報が削られるので、色々と考え物なんですね。
尤も、RAW現像でもトーンカーブいじれるんで、色々やって遊んでみて下さい。
メタリックな写真とか、ファンキーな写真がいとも簡単に!
そう、簡単に一気に調子が変わるんで、少しずついじっては元に戻して……なんて作業が難しくなります。
そう言う意味でも、他の設定の方を優先した方が良さそうです。
⑩モノクロ
RAW現像でも、JPEGのレタッチでも、要するに彩度を取り去るだけなんで簡単っちゃぁ、簡単なのですが……そう簡単な話でもないんです。
どの辺の明るさを中心に持ってくるかと言う事や、コントラストの強さを何処に持ってくるかと言う事で、かなり奥の深い設定が必要になります。
また、グレーとなる色合いを、シアンっぽく、緑かぶりっぽく……なんて変更してやるだけで、雰囲気が一気に変わってきたりします。
モノクロにすると、途端に玄人っぽく感じるので、時々使っては楽しむって手もあるのですが、ソレを芸術的だなんて勘違いすると……怖いです。
本気でモノクロで撮ろうとすると、カラーとは照明やカメラの設定を変えて撮らなくちゃいけないんですよね。
具体的には、ポートレートが分かりやすいでしょう。モノクロは陰影を大切にするのに対して、カラーは顔から影を消すように照明を用意します。
デジタル時代になって、色々と楽になりましたが、モノクロはやっぱり難しいです。
うっかり撮った写真をモノクロにして、案外良かったから……と言う使い方は、遊び程度にしておいた方が良いでしょう。
何故なら、それは現像処理を通じた経験ではなく、タダの運だからです。
モノクロで行きたいと思うなら、(RAWを残すにしても)モノクロ出力設定のJPEG出力にして、その場でモノクロの絵を確認しながら撮影した方がよさそうです。
※最後に
とは言え、救済策に甘えまくるのも、成長にならないので、何が悪かったのかを噛み締めるように修正する事にしましょう。
あと、現像ソフトには、今回紹介した設定の数倍のパラメーターが用意されていますので……全部いじると、どうにもなりません(汗
遊ぶのもほどほどに。
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